祖父が教えてくれた老化というもの [コーヒーブレイク]
祖父が教えてくれた老化というもの
わたしには 97歳になる祖父がいました
とても頑固でしたが 善良な人で
人に好かれる いいおじいちゃんでした。
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80代の終わりに 脳梗塞で入院したことがきっかけで
急に お年寄りらしいおじいちゃんになりましたが
それまでは 山歩きで 若者が登るのもきつい様な急な崖を
スイスイ登る スーパーおじいちゃんでした。
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そんな祖父が去年の6月
病院で 最後の一週間を お世話になり
見事に老衰で人生を終えました。
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最後まで 寝たきりにならずに寿命を全うしてくれたことで、
まわりの家族、親戚はとても助かり
感謝の気持ちで 見送ることが出来ました。
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孫として 何も大したことは出来ませんでしたが、
毎年、春と夏には誘い出しては 泊りがけで 山菜採りや
高原や海を見に ドライブに行ったり
普段でも時間がある時には ぶらりとドライブにで出かけては
その後に温泉につかるのが楽しみとなっていました。
一緒に里山を歩き回り、崖を登り、山菜を見つけては共に喜び、
一緒に海を眺め、一緒に温泉の湯につかる。
祖父もそのような時間を楽しんでくれました。
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脳梗塞の後 少し後遺症が残りました。
軽い顔面麻痺が口の横に 手の指先にしびれが出たのです。
母や親戚に手のツボを教えて 見舞いの際には
マッサージを繰り返すようにしてもらい
祖父には ツブツブの突起のでたゴムボールを渡して
常に にぎって手のひらのつぼを刺激するように伝えると
祖父はどこにいくにも ポケットにゴムボールを入れておいては
繰り返したようです。
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しばらくすると 効果がでてきて
ありがたいことに 顔面のマヒはすっかりなくなり
手の指先も自由に動くようになり
自分で後遺症を克服できて とても喜んでいました
見事 復活したのです。
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脳梗塞で入院したことで体力が少し落ちたことを
周りが心配して 祖父に杖をつくように持たせましたが
祖父は杖をつくことに抵抗を感じていたようで
手に杖は持っても 地面につこうとはしませんでした。
でもそれは 体力や筋肉を維持する上ではとても良かったのです。
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杖をつくと 立ったときに体の重心が中心から外れることになり
左右の足にかかる体重の重さがちがうことから
股関節や上半身の背骨にゆがみができてきます。
このゆがみが大きくなりすぎると
立つことがとても困難になり、 立つこと歩くことができなくなると
人の健康寿命はいっきに低下します。
祖父はできるだけ杖を使わずに 自分の足だけでまっすぐに
立とうとすることで 知らずに寿命をのばしていたのです。
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時間と共に 出来なくなることが少しづつ増え
老いを受け入れざるをえないことへの不安や悲しみに
立ち向かっている祖父の姿を そばで見せてもらうことで
わたしたち誰もが 老化や死というものを しっかりと意識し
できるだけ早い時期から 体の手入れの仕方を学んで
病気や老化を予防することの大切さを 教えてもらったのです。
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今、祖父との色々な思い出や経験から学んだことが
日々の治療に来られる患者のみなさんや
教室で生徒のみなさんと接する時にとても役立っていることを
心から 感謝しています。
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2009.12.31
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